徒然すぎて草。

ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん

VR(仮想現実)によるTCGの展開について

2016年は「VR元年」と呼ばれつつあるらしいことを最近知りました。

2016年があと2ヶ月しかないのに突然、元年とか言われても、

って感じはしますが、こんなものは言ったもの勝ちです。

 

実は、世界では数多くのベンチャー企業によってVRや、

その先の技術である拡張現実(AR)の研究が行われているのはご存知でしょうか。

その中でも現状、

主な用途として挙げられているのが、エンタメ・ゲーム関連なんですね。

例えば、エンタメ関連では

アーティストのライブをVRによってストリーミング配信する事業計画

などもあるようなので、

近い将来の「アイマス」のライブのチケットは、

「リアルのチケット」には制限があるけれども、

反面「VRのチケット」に関しては実質無制限、

といった状況になりそうですね。

デジタルコンテンツは一度作ってしまえば、複製にコストがかからないのが最大の強みです。

仮にこれが実現したとして、

リアルで買い損ねた人間にいくらか割り引いた値段でVRのチケットを販売する形式をとれば、

運営には大きな機会収益効果が生まれますし、

現状のシステムで問題になっている転売ヤーの要素も

いくらか緩和されるのではないかと思えます。

 

私はカードゲーマーなので、VRによるTCGの展開ってどんなものだろう、

と考えもします。

最初に考えられるのは対戦環境の変化。

遠隔で対戦を行うための方法として有力なのは、

ウェブカメラを用いての「Skype」の使用ですが、

このウェブカメラという部分はそのうち、

VRのヘッドマウントディスプレイに代替されるのではないかと。

(その頃のTCG層にVR周辺環境を整える財力があるかは別の問題として)

ウェブカメラによる対戦の難点は、カメラ視点・ピントの調整の手間と、

シャッフルのカットなどといったゲーム性の部分に現れると私は考えていますが、

仮に、VR上での対戦プラットフォーム(VR版のMTGオンライン的な)

を作ってしまえばその問題もいくらか解決されるでしょう。

 

また、VRによる没入感は「場が存在する」という錯覚を与えますから、

現状では「一時の対戦場」に過ぎないウェブ上のTCG対戦環境も、

VRの力にかかれば、疑似的な「カードショップのフリースペース」にまで

消化されるのではないかと思います。

ウェブ環境がフリースペースレベルにまで昇格したなら、

その中ですでに「DM vault」で行われている大会のようなものが

よりリアルな形の、参加費を払うタイプの大会までもが行われるのではないでしょうか。

オンラインの利点は、機材とネット環境さえそろえば参加できるという点です。

現状では物理的な障壁によって地域ごとにまとまるしかない対戦環境も、

将来的には日本橋秋葉原のプレイヤーが普通に戦うような世界が来るのではないでしょうか。

 

VRの対戦プラットフォームを開発するということは、

カードからなにからなにまでをデジタル化するということですから、

VR環境におけるカードの値段は「刷られた枚数」に依存することはないでしょう。

例えば、現在は在庫が希少で、時価5000円にまで釣り上がったこのカードも、

f:id:persona-kaza310:20161013205635j:plain

公式がいくらか余裕を持たせて「使う権利」を発行すれば値段の過熱を抑えられるはずです。

カードを使う権利が金で取引されるには、

  • 公式が必要以上に権利を発行しない
  • カードに強さが存在する
  • サービスが終わらない
  • ゲームバランスを崩壊させない

などといった要素が必要であると考えられ、これらの要素を一言でまとめると、

「信用」

という言葉に置き換わります。

こうなると、「カードは株」という至言がよりリアルさを伴っていくわけで、

VRの対戦環境は「株式取引所」としての側面も持つことになるのではないでしょうか。

そうなってくると、実物のカードを売るカードショップというものは、

「カードを使う権利の売買」という観点から見ると不要な存在になりかねませんね。

なぜなら、ユーザーにとっては「権利の発行元」が存在すればいいだけですから、

権利を買うのに中間マージンを取る存在は不要となるわけです。

 

現状においても、カードショップがリアルな店舗を構える事例は少しずつ、

目立たない規模ではありますが、減ってきているのはお気づきでしょうか。

フリースペースの提供はさほど金にならず、反面、維持にはコストがかかる。

カードの売買だけを考えるなら、リアル店舗など持たない方が儲かる、

という言説が少し前に流れていたのを覚えています。

個人的には、リアル店舗型のカードショップの本質は、

  • カードの売買
  • プレイヤーを結びつける環境

この2点にあると考えていますが、仮に、この後者を完全に捨て去るのであれば、

それはただの「カードを売るネット通販サイト」にすぎません。

また、仮に、儲かるとして後者の役割を捨てるカードショップ事業者が増えてくれば、

プレイヤーは現実に遊ぶ環境を失うこととなります。

それがなにを意味するかと言えば、カードで遊ぶ機会がなくなるということなので、

TCG産業そのものが成り立たなくなることが危惧されます。

「儲けるためにリアル店舗を捨てたい、でも皆が得をしようとすると、結果的に皆が存する」

ゲーム理論で言うところの「囚人のジレンマ」ゲームといったところでしょうか。

また、経済学的用語で言えば「合成性の誤謬」。

この場合の、リアルなカードが主流な環境でのナッシュ均衡は、

「遊ぶ環境を提供することでお金を取れるようにもしていく」

ことなのではないかと私は考えていますが、

ゲーム理論の授業は危うく単位を落としかけた身なので、

コレが本当かどうかは少し疑っています(笑)。

囚人のジレンマゲーム全体を俯瞰すれば、

プレイヤーは店だけでなく、カードゲーマーも要素に含まれますからね。

彼らは不当に感じられる「フリースペース利用料」を払うことは滅多にない

面倒な生き物ですから、

「経営が傾かないレベル」「スペース使用代でいくらか儲かる」

のバランスも考える必要があるでしょう。

なんにせよ、VR環境が台頭するまでの猶予の間に、

カードショップ事業者は先の事業形態を考えておく必要がなくもなさそう。

 

せっかくのVRですから、ただカードを並べるだけではつまらない。

最初の方は単純なエフェクトから、段階を踏んでアニメみたいな

カードイラストの3Dモデルなんかが出現すると面白いと思います。

美少女TCGでやりだしたら最高ですよ……最高じゃない?

私だったら、一日中、「最幸の巫女 ユキ」のCGモデルを舐めるように見ていると思いますね。

CGモデルを作るにはお金がかかるので、その分を稼がないといけなくなります。

デジタルのパックの価格に上乗せするのは一つの手ですが、

せっかくのCGモデルで、今は3Dプリンターなどの技術が発達してきているわけですから、

カードイラストのフィギュア化・アイテム化はより積極的に進んでいくのでは?

と思ったり、思わなかったり。

個人的には部屋にモノが増えるのは好まない質なので、

そうしたアイテムを買うかは分かりませんが、

現にウィクロスゼクスでフィギュア化されたカードが存在する以上、

ある程度の採算があるのでは、と思います。

デジタルになったものがリアルに回帰する現象、面白くありません?

 

今後のVR市場とカードゲーム市場を生温かい目で見つめていきたいですね。

それでは。

 

Twitterやってます→@kaza3i_hiziri