33歳の韓国人留学生の女性と会った話
季節の挨拶
そろそろ梅雨に入ろうというこの時期、当ブログに来訪いただく奇特な諸兄におかれましては、いかがお過ごしだろうか。
私はといえば、己を知り、出来ることと知識、考えを拡張しなければ先に道はなかろう、と思ったので、ヘッセやニーチェ、日本の近代文学などを読み始めた。
もし、あなたが私と同じような状況に陥っているのであれば、ヘッセの『デーミアン』を読むといいと思う。
作中のエヴァ夫人の「あいまいな望みを抱いてはいけません」という言葉と、彼女が語るロマンスは、恋愛やらに身をやつす者の道しるべとなることだろう。
さて、今回はタイトルの通り、そういう女性と会った話となる。
意識の変容・課金形態
毎回、キャッチアンドリリースをするたびに精神状態がゴミカスになるので、「一人に嫌われたとしても、それがどうでもよくなるくらい女性に会おう」と考えるようになった。
このマインドセットは元来、モテを目指す男に向けてよく語られるものであり、私自身も何度も目にしてきた文言であるが、これまでは言葉でしか理解していなかった。だが、何度か同じことをするにつれ、この言葉が心で理解できるようになってきた。
このマインドセットが出来ていないと、その場での言動もそうだし、後になっての己のメンタルケアにかなりのコストを支払うことになる。
さて、私がこの教えを実践するために何をしたかといえば、tinderへ課金をすることだった。半ば自棄になった私は、tinder plusの1年分のパックを買うことにし、それまで120回が上限だった右へのスワイプは無制限となった。
こうして、元々やっていた体幹のトレーニングをしながら、左から来る画像を右に送るのが日課となった。腹筋を2分、背筋を1分やる。腹筋をしている間は1秒に3枚ほど、背筋の間は2枚程なので、合計で500枚ほど送る計算となる。
そんなことをやっていると、3日に1人くらいはちゃんと話せそうだな、という人とマッチすることになる。そういう人とのやり取りを積み上げていき、平行して進めていく。
同時にやり取りする人が3人を超えてくると、メッセージの通知が来ても「この人誰だっけな」という感覚になってくる。気の利いた答えを考えるのも若干面倒になってきたのだが、途中から手を抜いてぶち壊しにするのも馬鹿々々しいのでその辺はしっかりと考える。
どんなことを質問すれば、相手が情報を快く開示するのか、どういう話の流れにすれば、会う約束を持ちかけられるのか、そうしたことが頭の中に仕組みとして出来上がってきつつあるのを感じる。
しかし、経験を積むにつれて、精神的な熱量がどんどん下がっていくのを如実に感じる。今年の3月~4月までの、1人とのやり取りに一喜一憂していた頃が微笑ましい。これが大人になるということの一部なのだろうか。だとするなら、「天国は幼児(おさなご)のためにある」と説いたキリストは全くもって正しかったと言えよう。
心が冷えることなく、熱に浮かされたまま番いを得た果報者達に幸あれ。
33歳の韓国人留学生とマッチした話
さて、こんな話を長々と聞いても面白くないだろうから、タイトル通りの話をするとしよう。
彼女のことは、プロフィールに「ダイエットしてTWICEのジヒョみたいになりたい」と書いていたからジヒョさんと呼ぶことにしよう。個人的にだが、TWICEは全体的に美しさ寄りの女性アイドルとして、ルックスの完成度が高いと思う。特に脚がいい。
ジヒョさんのプロフィールを要約すると以下のような感じになる。
- 韓国出身(文章を読む限り日本語の習熟度はかなり高い)
- 今は大学院生
- 気軽に会える友達や彼氏をつくりたい
- 好きなアーティストはaiko
実際に会っても言語が通じない、ということはなさそうだな、と思ったのと、どんなことを研究しているのだろう、と思い、やり取りをすることにした。また、それなりに年上で、文化背景も大きく異なるであろう相手に、私がどこまでやれるかも試してみない手はないと思った。
頭の中にある韓国に関する知識は、サンケンロックで読んだ「韓国のギャングは法規制の影響で銃火器が使えないので、メインの武装がノコギリや短刀」というものと、유☆희☆왕という綴りが遊☆戯☆王を意味するということのみであるが、まぁ、何とかなるだろう。
会話はおおむね以下のような感じで進んだ。
マッチ1日目
風見「はじめまして! よろしくお願いします。大学院ではどんなことを研究しているんですか?」
ジヒョ「教育論とジェンダーの研究をしてます! よろしくお願いします!」
風見「ジェンダー論は深遠な学問ですよね……何がきっかけで学問の道に進んだのですか」
ジヒョ「大人になってから大学に入る受験勉強を始めたんですけど、意外と楽しかったので院に行こうと思いました」
マッチ2日目
風見「僕も大人になってから、本を読んで勉強するのが楽しくなりました。オフの日とかは何をされてるんですか?」
ジヒョ「友達とごはん行ったり散歩したり海外ドラマ見たりです」
風見「そういうの楽しいですよね!そういえばaiko好きなんですね。どの曲がおススメですか?」
ジヒョ「『シアワセ』って曲と『ひまわりになったら』って曲とか好きですよ! でもカラオケ行ったら定番のカブトムシばかりですけどね……」
マッチ3日目
風見「人とカラオケ行くと有名なのばかりになっちゃいますよね、分かります。(紹介された2曲を聞いて)シアワセが僕は特に好きでした」
ジヒョ「シアワセ歌詞もメロディーも好きです。風見さんもカラオケ好きなんですね」
風見「ですね、一人で行くのも好きですし、人と行って知らなかった曲を聞くのも好きです。もし予定が合えばなんですけど、一緒にご飯いったりしませんか?」
ジヒョ「ぜひ! 行きましょー!」
他にもいろいろ情報はあったが、長くなるので割愛した。
基本的に、相手のメインとしているワーク(勉強・仕事)のことを過去もしくは未来のことと併せて質問し、相手が好きなものがあれば、それのどんなところが好きかを聞いて、自分も読んだり調べたり聞いたりしてみて、自分から出てきた言葉で感想を伝える、というスタンスで進めた。
経験上、文化(美術・文学・音楽など)に興味がある女性であればある程、この手段が通じる傾向が強い。というか、私が会っている女性の大半はこういうタイプだ。傾向の度合いに学歴はあまり関係ない気がする。
学歴カードが強くても、話のつまらない人間は本当につまらない。マッチする人間が増えるにつれ、これまでは「返事をくれた、嬉しい」だったのが、「好みでもない人間とこんなつまらない会話をする意味あるか???」と思うようになった。
閑話休題。会う場所は恵比寿にした。
ジヒョさんのbioには韓国料理とタイ料理が好きと書いてあったので、そのラインと、焼肉で店を探すことにした。色々と候補を出していったのだが、ジヒョさんの「高そうな雰囲気がしますね……」という感想により、あまりにベタで提案するのがためらわれたKollaboに行くことになった。恵比寿にした意味……。
そしてアポ当日。恵比寿に慣れていないというジヒョさんと落ち合うのに10分弱かかった。そう、今回はすっぽかされなかったのだ。
実際に目にした印象としては、遊び慣れている、という感じではなく、本当にbioの通りで友達や彼氏を作りたい人なのだな、と思った。
白のブラウスは袖がやや透けるタイプで、胸元にリボンがあって可愛らしい。深い緑のスカートとブラウスのリボンで色を合わせてある。一橋のキャンパスでこんな感じの服装をしている女子をよく見たな……というノスタルジーが襲った。
Kollaboにて
Kollaboは、有名な韓国料理店が自慢とするメニューを一つの店に合わせました! というコンセプトのチェーンである。合計15店がそのラインナップに数えられているが、ジヒョさん曰く、「ソロンタンしか知らない……」とのことだった。まぁ、インド人が日本のカレーを見て、「こんなもの、インドにはないよ……」と言うようなものだろう。
話した内容はメッセージのやり取りをしていた時のものを拡張したようなものである。
いつ頃日本に来たのかとか、ジェンダー論を研究するようになったきっかけであるとか。
質問を投げかけて、適度な相打ちと更なる突っ込んだ質問、適度な沈黙があれば向こうから話してくれる。この辺りは日本人と会話するのと全く変わりがない。
自分の周りに性的マイノリティの人が多かったので、そういうことに自然と興味が向き、将来的にはコミュニケーションが異性愛を前提としたものではなくなればいい、というビジョンを持っているようだった。
頃合いかな、といったところで、tinderでどれくらいの人と会ったかを聞いてみることにした。
すると、ジヒョさんはtinderで会った男が下ネタの方向に振ろうとするばかりで全く話が盛り上がらなかった、というエピソードを語ってくれた一方、聞いていた私は内心、聞くポイントをミスったなー、と思った。
その話をした時点で、「私は下ネタを振られても盛り上がらないです」という空気感が生まれたように思え、この場でその方向に持っていくのは一貫性と不協和を起こすので下策だなと思った私は、恋愛経験の方へ話を振った。
恋愛経験は全くか殆どないらしく、どういう恋愛をしたいか、といったビジョンもぼんやりしていると思われ、どう話を進めたものか、と悩ましい思いがした。
店側から、そろそろ次の予約客が来るから席を空けてくれと言われたので、2軒目かカラオケにでも行くか、と誘ってみたが、今日は帰っておきます、ということでフィニッシュした。
余談だが、ジヒョさんと店に着いたタイミングで別の女の子からのメッセージが来て、ジュディ・オングの「魅せられて」の歌詞みたいだな、と思った。
会った女の席の前でも 違う女のメッセを見るのよ。
その後・反省会
その夜、ジヒョさんからお礼のメッセージが来たので、「また予定が会えばご飯しましょう」と送ったところ、ラインの交換をしませんか、というメッセージと共に、本当はカラオケに行くか迷ったのです、というコメントが来た。
今回はマシな終わり方をしたのか……? と思いつつ、今後に期待しようと思う。
反省点・改善点としては、遊び慣れていない感じの人に対しては、tinderで実際に会った人のことを話してもらうより、どういうことがしたいかを聞いた方がいいように思われた。その逆も然り、だ。
また、食事の段階で恋愛系の話が盛り上がっていないと、2軒目やカラオケに誘い出すのは難易度が高いという気づきを得た。
来週、もう一人と会う約束があるので、全く精神的なダメージがない。
健やかな精神のためには余裕が必要なのだということを切に感じる。
それでは。